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はじめに 東京 日本橋室町で開業している社会保険労務士の田中寧子(たなかやすこ)です。

労務管理を一生懸命に頑張る会社様、大切と分かっているけど、どうすればよいか分からないで悩んだ挙句、放置の会社様、税務は大切と分かっているけれども、労務は別にペナルティがないだろうと自己流で対処する会社様など、様々あるようです。実は、労務にも細かく罰則があります。罰則から、労務管理のポイントや労務管理への興味につながるように今回は、労基法の罰則について解説していきます。他の労働に関する法令に関わる罰則シリーズを今後もアップしていきますので併せて読んでいただけますと幸いです。

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労働基準法の罰則を知ってリスク管理を行おう!
労働基準法の基本を理解しよう
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    労働基準法の目的は、労働者が公平で安全な労働環境で働くことを保証することです。

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    法的なを理解することで、企業は意図しない違反を避けることができます。

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    労働基準法の遵守は企業の信頼性向上に繋がり、優秀な人材の確保に貢献します。

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    労働時間、賃金、労働条件に関する基準を明確にし、労使間のトラブルを未然に防ぎます。

  • check_box 新しい法律や変更についての最新情報を常に把握し、必要に応じた法改正に対応することが重要です。
労働基準法は、労働者の権利と安全を守るために制定された法律であり、企業にとっても遵守すべき重要な規則です。この法律を理解し、適切に運用することは、企業の健全な運営のみならず、従業員のモチベーション向上や労働環境の改善にも寄与します。ここでは、労働基準法の目的や重要性、知っておくべき基礎知識を紹介し、法的リスクを低減させるためのポイントをお伝えします。
労働基準法の罰則とその影響

労働基準法の罰則とその影響

法的リスクを抑えて安心安全な職場を実現!

  • Point 01

    罰則の種類とその影響

    労働基準法に違反した場合、企業は刑事罰や行政罰の対象となります。具体的には、罰金や懲役刑が科されることがあり、企業の信用を失うリスクも伴います。また、労働者からの訴訟や損害賠償請求に発展することもあるため、企業経営に深刻な影響を与える可能性があります。

  • Point 02

    罰則が企業と従業員に及ぼす影響

    法的制裁を受けると、企業の営業に大きな影響が出て、取引先からの信頼失墜が生じることが多く、従業員の職場環境やモチベーションにも悪影響を及ぼします。また、従業員に対しても不当な仕事を強いることで、職場の雰囲気が悪化し、離職率が上がるリスクが高まります。

  • Point 03

    無視するリスクとその解決策
    労働基準法を無視することは短期的な利益を追求する行為ですが、結果として法的トラブルが発生し、高額なコストを要することになります。適切な労務管理を行い、専門家のアドバイスを受けることで法的リスクを回避し、安心安全な職場環境を整備することが重要です。

労基法で一番重い罰則(強制労働の禁止)

1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金


労基法における「強制労働の禁止」と最も重い罰則について

労働基準法第5条には、 「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって労働を強制してはならない」 と規定されています。 これは、戦前の過酷な労働慣行を背景に定められた条文であり、労働者の基本的人権を守るための「労基法の根幹」ともいえるものです。


罰則は労基法の中で最も重い

強制労働を行った事業主には、「1年以上10年以下の懲役」(労基法第117条)が科されます。 他の労基法違反(例えば労働時間や割増賃金未払いなど)は多くが「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」といった比較的軽い刑罰であるのに対し、強制労働は桁違いに重い処罰です。


実際のエピソード

過去には、借金を理由に労働者を寮に閉じ込め、自由に退職できない状態で働かせていた事業者が摘発されたケースがあります。 また、外国人技能実習生に対しパスポートを取り上げ、逃げられない状態で長時間労働を強いていた事例では、国際的にも大きな問題となりました。

いずれも、「賃金未払い」や「長時間労働」といった一般的な違反を超え、人権侵害そのものとして扱われ、労基法の中で最も重い罰則が適用され得る典型例です。


まとめ

強制労働の禁止は「労働法のルール」というよりも、人権を守る最後の砦です。 万一「辞めたいのに辞められない」「借金を理由に働かされる」「逃げると家族に危害を加えると言われる」といった状況を生むと、会社は社会的信用を失うだけでなく、経営者が10年以下の懲役という極めて重い処罰を受けるリスクがあります。


教訓

労務管理においては、日常の労働時間管理や残業代の支払いとあわせて、「従業員の自由な意思で働いてもらう」という基本を決して忘れないことが重要です。

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

子どもや妊婦を守る労基法 ― 罰則付きのルール

労基法は「労働時間」「賃金」だけでなく、弱い立場の人を守るために特別な条文を設けています。 その中でも、違反すると 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 という比較的重い罰則があるものが以下の条文です。


1.中間搾取の排除(第6条)

「他人の就業に介入して利益を得てはならない」と規定されています。 かつては「口入屋」と呼ばれるブローカーが、働きたい人を工場や鉱山に送り込み、中間で賃金を抜き取るようなことが横行していました。 現代でも「名ばかり派遣」や不当なピンハネ問題が報道されることがあります。こうした労働者を食い物にする行為を防ぐための条文です。


2.最低年齢(第56条)

原則として 15歳に達した日以後の最初の3月31日を経過するまでは働かせてはなりません。 昔は学校に通えず、子どもが炭鉱や工場で働くことも珍しくありませんでした。現代でも「ユーチューブ撮影で子どもを過酷に働かせる」「飲食店で義務教育中の子どもを深夜に働かせる」などが問題化することがあります。


3.年少者の坑内労働の禁止(第63条)

18歳未満の者は坑内(地下の鉱山など)で働かせてはいけません。 坑内労働は事故や有害物質の危険が大きく、若年者の心身には過酷すぎるからです。実際、戦前の炭鉱では少年が働き、事故で命を落とす例が多く、社会問題になりました。


4.妊産婦等の坑内業務の就業制限(第64条の2)

妊娠中や産後1年以内の女性を坑内で働かせることは禁止されています。 妊産婦は心身に大きな負担がかかっており、坑内労働は流産や母体の健康リスクを高めるからです。これは女性保護規定の中でも象徴的な条文です。


5.認定職業訓練に係る特例(第70条)

原則、年少者や女性を坑内で働かせることは禁止ですが、唯一「職業訓練」に限り例外が認められることがあります。ただし、極めて厳しい条件下での特例であり、保護の基本は揺らぎません。


まとめ:保護規定は「過去の悲劇」から学んだルール

これらの罰則付き規定は、単なる労働条件のルールではなく、 「子どもや妊産婦を危険から守るための人権保護」 を目的にしています。 もし違反すれば、たとえ小さな会社でも「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰に問われる可能性があります。 つまり「働かせすぎ」「危険な場所での就労」は、単なる労務トラブルではなく人権侵害事件として扱われるのです。


教訓

経営者の方は「昔の話」と思わず、アルバイト採用や外国人雇用の際も注意が必要です。

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労働紛争を未然に防ぐ方法

6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金

6か月以下の懲役・30万円以下の罰金となる労基法違反の傾向

① 日常的な労務管理ルールの違反

・法定労働時間(32条)

・休憩(34条)

・休日(35条)

・割増賃金(37条)

・有給休暇(39条)

※いわゆる「労働時間・休暇・賃金」といった基本ルールに関するもの。 経営者や人事担当者がもっとも身近に関わる分野であり、違反件数が圧倒的に多い領域です。


② 解雇・人事上の手続き違反

・解雇制限(19条)

・解雇予告(20条)

・公民権行使の保障(7条)

・監督機関に申告した労働者への不利益取扱(104条2項)

※「従業員を守るための最低限のセーフティーネット」を破った場合。 会社の恣意的な人事から労働者を守る目的が強いです。


③ 差別・人権侵害に関するもの

・均等待遇(3条)

・男女同一賃金の原則(4条)

・妊産婦等の保護(64条の3~67条)

・年少者(61・62条)

※「弱い立場にある人を守る」ため。社会的に非難を受けやすく、違反すると刑事罰の対象になります。


④ 労働契約や賃金支払いにおける不公正な取り扱い

・賠償予定の禁止(16条)

・強制貯金(18条1項)

・秘密の記号の記入禁止(22条4項)

※「辞めたら罰金を支払え」「強制的に給与を天引きにし貯金にして労働者が自由にお金を使えなくして自由を拘束する」、「契約書や証明書に問題社員の符号を入れて転職を妨害する」ことを禁止するもの。労働慣行で横行した“縛り付け”から労働者を守る歴史的背景があります。


⑤ 安全・補償関連

・坑内労働等および時間外労働制限(36条6項)

・災害補償(75条等)

※危険な労働や災害発生後の補償を怠る行為。 安全配慮義務に直結し、労働者の生命・健康を守る観点から重視されています。


まとめ

日常的な労務管理ルール(労働時間・休日・賃金支払い) 人事上の乱用防止(解雇・不利益取扱い) 弱者保護・差別禁止(子ども・妊産婦・男女平等) 不公正契約の排除(賠償予定・強制貯金など) 安全・補償の確保(坑内労働・災害補償)

つまり、「経営者の身近な労務管理で起こりやすい違反」や「歴史的に労働者を苦しめてきた不当な慣行」を中心に、比較的軽いが無視できない刑事罰が設定されていると言えます。


教訓

日常的に起こりやすい違反のため、気づかないうちに刑事罰の対象になりかねないので注意しましょう。

30万円以下の罰金

30万円以下の罰金にとどまる労基法違反の傾向

① 手続きや書面の義務違反

・契約期間の制限(14条)

・労働条件の明示(15条)

・退職時の証明書交付(22条1~3項)

・就業規則の作成・届出(89条・90条)

・就業規則等の周知義務(106条)

・労使協定の届出義務違反

※「紙に書いて渡す」「役所に出す」「社内に周知する」といった 書類や手続き面のルール。 罰則は軽いですが、トラブル防止や透明性確保には欠かせない基礎です。


② 賃金や休暇に関するルールの形だけ違反

・賃金支払5原則(24条) (通貨・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日払い)

・年次有給休暇の使用者による時季指定(39条7項)

※賃金や休暇という重要テーマですが、ここでの規定は「支払い方法」「指定の仕方」といった形式面の守り方が中心。


③ 個別の労働者への配慮規定

・生理日の就業が著しく困難な女性への措置(68条)

※個人の体調や事情に配慮するルール。労働環境の人権的な側面を補う位置づけ。


④ 行政対応の義務違反

・臨検拒否(101条)

※労基署の立入調査に協力しない場合。手続き面の義務ですが、実務では行政との関係悪化につながるので軽視できません。


まとめ

これらの条文に共通するのは、

・「手続き・形式の遵守」

・「書面・周知の透明性確保」

・「労働者への配慮を怠らない」

といった 会社としての“姿勢”や“誠実さ”を問うルール です。

強制労働や未払い残業のように直ちに人権侵害・重大損害につながるわけではないため罰則は軽めですが、これらを怠ると「ブラック企業」イメージに直結し、行政指導や従業員との信頼失墜に繋がります。


教訓

「重い違反ではないが、“会社の信用”を守るうえで軽視できないルール」といえます。

法的リスクの見える化と管理

企業経営においては、労働基準法に関する法的リスクを把握・管理することが重要です。内部監査や従業員ヒアリング、チェックリストで現状を「見える化」し、就業規則の見直しや研修を通じてリスク対策を講じることが有効です。さらに、社労士や専門家の助言を活用することで、法令改正や労働市場の変化に適応し、安心・安全な職場づくりと企業の健全な成長につなげられます。

法的リスクの見える化と管理

内部監査とは

労務の内部監査とは、企業が自社の労務管理や人事制度が法律(労働基準法や社会保険関連法など)や社内規程に適切に沿って運用されているかを、社内で点検・確認する仕組みをいいます。


主な内容

・労働時間管理の確認

 残業時間の把握、36協定の締結・遵守状況、勤怠記録の適正性 賃金


・割増賃金の支払い確認

 残業代・休日労働手当・深夜手当の計算や支払いが正しいか 労働契約


・労働条件通知の確認

 労働条件通知書や契約書の記載が法令に合致しているか


・就業規則・社内規程の整合性

 最新の法改正に対応しているか、不備や矛盾がないか


・安全衛生・ハラスメント防止の確認

 労働安全衛生管理体制や相談窓口の設置状況


目的

・法令違反や労使トラブルの 未然防止

・行政調査(労基署監督など)に対する リスク低減

・従業員にとって安心できる職場づくり


つまり、自社の労務管理の健康診断のようなものです

お気軽に、ご相談くださいませ!

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労働基準法を正しく理解し、遵守することは、従業員の安全と健康を守るだけでなく、企業と従業員の信頼関係を築くうえでも欠かせません。安心して働ける職場は生産性の向上にもつながります。


一方、法令違反が発覚すると、罰則や損害賠償だけでなく、企業の信用失墜という大きなリスクを招きます。これは経営や従業員の生活に直結する重大な問題です。 だからこそ、給与・労働時間・就業規則などの基本ルールを整備し、労務管理を適正に行うことが重要です。トラブルを未然に防ぐことで、健全で安心できる職場づくりが可能になります。


紫峰社労士事務所は、最新の法令に基づいたサポートで、御社のリスクを減らし、安心できる労務管理の仕組みづくりをお手伝いします。

ぜひお気軽にご相談ください。

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