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はじめに こんにちは。東京都 中央区日本橋で開業している社会保険労務士の田中 寧子(たなかやすこ)です。

労働関連法の罰則を順次アップしており、今回は労災保険法についてです。罰則から労務管理の押さえるポイントが見えてきます。実際、労災事故は日常からよくある事です。労災保険の基本事項も含めて記載していきますので、皆様の事業の参考になりますと幸いです。

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労災保険とは、何ですか?

労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)は、働いている人が仕事中や通勤中ケガや病気になった場合に、その損害を補償するための公的な保険制度です。 


労災保険の主なポイント

対象者:正社員だけでなく、パート・アルバイトなど雇用形態に関係なく、賃金を受け取って働いている人すべてが対象になります。

保険料の負担:保険料は全額事業主(会社)が負担するため、労働者の給与からは差し引かれません

労災保険に関する法律と規則

労災保険の保険給付

労働者を守る3本柱(複数業務要因災害に関する保険給付を含むと4本柱)

  • Point 01

    業務災害

    労働者が仕事中や業務に起因して負傷・疾病・障害・死亡した場合に保障されます。機械事故によるけが、化学物質による職業病、過労による脳・心臓疾患、精神疾患などが含まれ、療養費や休業補償、障害補償、遺族補償など幅広い給付が行われます。

  • Point 02

    通勤災害

    労働者が住居と就業場所との往復や合理的な経路での通勤中に被った負傷・疾病・死亡を保障します。交通事故や通勤途中の転倒などが代表例です。保育園送迎など社会通念上認められる経路も含まれ、業務災害と同様に治療費や休業補償等が給付されます。

  • Point 03

    二次健康診断等給付

    定期健診で血圧や血糖値、コレステロールなどの異常が判明した労働者に対し、労災保険から無料で精密検査や特定保健指導を提供する制度です。過重労働などによる脳・心臓疾患の発症を未然に防ぐ目的があり、予防的観点から健康保持を支援する仕組みです。

労災保険で給付される内容

労災保険の業務災害での給付の種類

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    療養補償給付

    業務災害でけがや病気をしたとき、労災指定医療機関での治療費が全額支給されます。本人の自己負担はありません。

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    休業補償給付

    けがや病気で働けず賃金が受けられない場合に支給。

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    傷病補償年金

    療養開始から1年6か月を経過しても治らず、一定の障害等級に該当する場合に支給される年金。

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    障害補償給付

    治療が終わっても障害が残った場合に支給。

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    遺族補償給付

    労働者が業務災害で死亡した場合、遺族に支給。

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    葬祭料(葬祭給付)

    労働者が亡くなった際、葬祭を行う人に支給。

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    二次健康診断等給付

    脳・心臓疾患の予防のため、一定の健診結果が出た人に精密検査や保健指導を実施。

労災保険は、労働者が仕事中に負傷したり、病気になったりした際に、経済的なサポートを提供する重要な制度です。この制度の背景には、労働者の安全と健康を確保するための強力な法律が存在しています。しかし、適切な遵守がなされない場合、企業には罰則が科されることがあります。労働者の権利を守るためにも、これらの罰則や制度の意義を理解することが重要です。

労災保険に未加入の場合の罰則(費用負担)

労災保険(政府管掌)は「強制適用」なので、未加入=手続未了でも労災給付自体は政府から支給されます。

ただし会社側には次の不利益・罰則がかかります。


1) 行政上・金銭面のペナルティ(未手続・未納の基本線)

 ①保険関係は事業開始日に遡って成立。開始後10日以内の成立届出義務あり。

  未手続が判明すると最長2年分の保険料を遡及徴収され、さらに追徴金10%が課されます。

 ②延滞金:納付遅延には法定の延滞金(概ね年14.6%・初期2か月は7.3%が上限、特例で低率期あり)が加算されます。


2) 労災給付費の「費用徴収」(事故発生時の重い負担)

 ①未手続のまま労災が起きると、政府が被災者へ給付後、会社から給付費の全部または一部を徴収します(労災保険法31条)。

 ・故意に未手続:原則100%徴収

 ・重大な過失(是正指導後も放置・1年以上未手続等の悪質事例)や保険料滞納中の事故:最大40%徴収

 ・いずれも療養(治療)給付と介護補償給付は除外、原則療養開始から3年以内の支給分が対象。


3) 刑事罰(罰則条項:命令違反・虚偽報告・検査忌避など)

 ①徴収法の罰則(第7章):

 ・帳簿備付・記載・報告義務違反、虚偽報告、行政庁の報告命令違反、質問への不答弁、立入検査の拒否・妨害等

  ⇒ 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金

 ・両罰規定あり:違反行為者本人だけでなく法人にも罰金が科されます。

「労災隠し」について

労災隠しとは

労働災害(業務災害や通勤災害)が発生したのに、 本来すべき労基署への報告や労災保険給付の手続きを行わず、会社が隠してしまう行為をいいます。


これは労働者に不利益を与えるだけでなく、事業主には法令違反の罰則があります。


罰則

・労働安全衛生法 第100条・第120条

 労災事故を報告しない、虚偽報告をした場合は 50万円以下の罰金

「労災隠し」として行政が悪質と判断すると、企業名が厚労省から公表されるケースもあります。


労災隠しの具体例

・労災事故を「私病」として処理

 例:工場で指を切断したが「自宅でケガをしたことにする」などとして健康保険で治療。

 ⇒労災事故に、健康保険を使用してはいけません。

・休業日数をごまかす

 例:実際には10日休んでいるのに「3日休業」として処理し、労働者死傷病報告を出さない。

・労災申請をさせない

 例:交通事故で通勤災害に当たるケースなのに、「会社に迷惑がかかるから健康保険で処理してくれ」と強要。

・下請け労働者の事故を届け出ない

 例:建設現場で下請け作業員が墜落負傷したが、元請けが労基署に報告せず、下請けに処理を押し付ける。


なぜ会社が隠そうとするのか

 ①行政指導や監督署調査を避けたい

 ②企業イメージや取引先への信用低下を防ぎたい

 ③保険料率(労災保険のメリット制)に影響するのを嫌う


まとめ

「労災隠し」は、労働者の治療・補償の権利を奪う重大な違法行為です。

見つかれば 罰金+企業名公表+社会的信用失墜 という大きなリスクがあります。

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労災保険は、労働者を一人でも雇用していたら、加入しなければなりません、そして、従業員に労災事故が遭った場合にすぐに対応できるように、保険料を納めている必要ががあります。仕事中のケガ、通勤中の事故はよくあることですが、時々、保険証で済ませたと聞くことがあります。医療機関にとっても労災で処理するか私傷病によって処理するか重大な内容です。会社とその従業員だけの問題ではありません。従業員が業務上・通勤での負傷・疾病があった時に正しく給付が行われるよう、事業主は、労災に関する知識を身につけることは、企業の経営にとって非常に重要です。また、労働者が安心して働ける環境を整えることで、企業にとっても会社の信頼性、さらに競争力のある人材の確保につながります。


労災保険に加入し、保険料を納め、事故後の報告があることはご理解いただけたと思います。

しかし、労働保険に加入したり、保険料を納めたり、事故時の対応方法は、煩雑です。

何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。弊所がしっかりとサポートいたします。

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労災保険の罰則とは?

労災事故を届け出なかった場合

労災事故の届出義務(いわゆる労働者死傷病報告)は、労働者災害補償保険法(労災保険法) ではなく、 労働安全衛生法 に基づく義務 です。


労災事故の報告義務

(根拠)労働安全衛生規則 第97条

 労働者が 死亡または休業4日以上の負傷・疾病 をした場合、事業主は「労働者死傷  

 病報告」を所轄労基署に提出しなければなりません。


罰則

労働安全衛生法 第100条、第120条 報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は、 50万円以下の罰金 が科されます。


【実務上のポイント】

・死亡や重度災害の場合、速報 が必要です。

・休業1~3日や医師受診のみの災害は「死傷病報告」提出義務はありませんが、労災申請のために労基署に書類を出す必要はあります。

・いわゆる「労災かくし」(報告義務を免れるために業務災害を隠すこと)は、監督署から特に悪質と判断されやすく、企業名が公表される場合もあります。


【+α】

労災保険法 …給付の仕組み(療養補償給付、休業補償給付など)や、事業主の費用徴収・未加入時の罰則を定めています。


労働安全衛生法 …事故や疾病の発生を労基署に報告する義務や、職場の安全衛生管理体制を定め、罰則も規定しています。

保険料を納付しなかった場合

「労災保険料を納付しない」とは、事業主が法律で義務づけられた労災保険料を国に支払っていない状態 をいいます。


労災保険料の仕組み

・労災保険は 全額事業主負担(労働者からは徴収しません)。

毎年 6月1日~翌年5月31日 を保険年度とし、

 ①年度の初めに「概算保険料」を納付

 ②年度末に「確定保険料」で精算

この保険料を納めることで、労災給付(療養費、休業補償など)が国から行われます。


納付しないとは具体的に

 ①成立届を出さず未加入状態 → 保険料を申告・納付していない。

 ②概算保険料を申告したが払っていない。

 ③年度末の確定保険料を納めていない。

 ④虚偽申告(賃金を少なく申告し、保険料を実際より安く払う)。


納付しないとどうなるか

 ①延滞金 が加算される。

 ②悪質な場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金(労働保険徴収法51条)。

 ③労災事故が発生した場合、国が給付したあとに 給付額の一部または全部を事業主に請求(費用徴収)。

  ・故意未納 → 原則100%徴収

  ・悪質・重大な過失 → 最大40%徴収

労働者保護の重要性