はじめに
こんにちは。東京都 日本橋室町に開業している社会保険労務士の田中 寧子(たなかやすこ)です。
今回は、ストレスチェックについてですが、ストレスチェックは2015年に50人以上の企業で義務化され、10年が経ちました。2025年に法改正を受け、2027年までに50人未満の職場に対してもストレスチェックが義務化される見通しとなってきました。ストレスチェックの目的や役割、意義、導入に向けての準備などを解説していきます。
ストレスチェックの重要性を理解し、快適な職場環境を実現しよう!
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制度の目的
労働者の心理的な負担(ストレス)を把握し、心身の不調を未然に防止することを目的としています。
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法的根拠
2015年12月から「労働安全衛生法」に基づき、常時50人以上の労働者がいる事業場に年1回の実施が義務づけられました。
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対象者
原則として正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなどを含む全ての労働者が対象です。
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実施方法
質問票による自己記入式で行われ、労働者のストレスの程度を数値化して評価します。
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結果の取扱い
本人に通知され、本人の同意なしには事業者に個別結果は提供されません。個人情報保護が徹底されています。
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高ストレス者への対応
一定基準以上の高ストレスと判定された従業員には、医師による面接指導を受ける機会が与えられます。
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職場改善への活用
集団分析を行うことで、部署ごとのストレス状況を把握し、職場環境の改善につなげることが可能です。
ストレスチェックは、職場のメンタルヘルスを向上させるための重要な手段です。従業員が抱えるストレスを適切に把握し、早期に対策を講じることで、職場環境の改善が期待できます。近年、メンタルヘルスへの関心が高まる中、企業にもそれに対応する義務が求められています。
2. ストレスチェックを活かすには
職場環境の健全化を目指して!
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Point 01
集団ごとの分析に活用
ストレスチェックの集団分析は、部署ごとのストレス要因や傾向を把握し、職場環境改善に役立てる方法です。高ストレス職場を特定し、業務量調整や人間関係の改善施策を検討できます。また、職場全体の健康度を数値化することで、経営層へ改善効果を示しやすくなり、従業員のメンタルヘルス維持や離職防止にもつながります。
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Point 02
管理監督者の理解と対応
ストレスチェック結果を活かすには、管理監督者の理解と対応力が重要です。従業員の不調のサインに早期に気づき、適切な声かけや相談対応を行える力を養うことで、問題の深刻化を防げます。研修や面談スキル習得を通じて傾聴力やマネジメント力を高めると、安心して働ける職場づくりとメンタルヘルスの維持に大きく貢献します。
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Point 03
従業員参加型の職場環境
ストレスチェックはひとりで回答するものですが、実は、ストレスチェックを通じて従業員参加型の職場環境は、調査結果を一方的に通知するだけでなく、従業員の声を職場改善に反映させる仕組みです。意見交換や提案の場を設け、業務量や人間関係の課題を共有し、改善策を共に検討することで、働きやすさと安心感を高め、組織全体の活力向上につながります。
3. なぜメンタルヘルスが重要性か?
企業におけるメンタルヘルスは、生産性や業績に直結する重要課題です。従業員が健康であれば意欲やチームワークが高まり、創造性や効率も向上します。
一方で、ストレス問題を放置すると離職率が上がり、採用・教育コスト増や業務停滞を招きます。
ストレスチェックは法令遵守だけでなく、従業員の問題を早期に把握し、改善につなげる有効な手段です。企業が健康への配慮を示すことで、モチベーションや定着率が高まり、組織の活性化につながります。
多様な働き方が広がる今こそ、職場環境を見直し、持続的成長を支えるメンタルヘルス施策を積極的に進めることが求められます。

4. 高ストレスとは
ストレスチェック制度では、厚生労働省が示す「職業性ストレス簡易調査票」(57項目版や簡略版)をもとに、高ストレス者を抽出する基準が設けられています。
高ストレス者の基準(例:57項目版の場合)
1.仕事のストレス要因(仕事量・人間関係など)や 心身のストレス反応(不安・抑うつ・疲労など) が一定以上高い
2.または、ストレス反応が中程度以上で、かつ 仕事の負担が大きい・サポートが少ない
具体的には、回答を点数化し、
・ストレス反応が「77点以上」
・もしくはストレス反応が「63点以上」かつ、仕事の負担・サポート状況が「76点以上」
といった条件で「高ストレス者」と判定されます(基準は厚労省の推奨方式)。
ポイント
・この基準は全国一律の目安ですが、各企業で産業医など専門家の判断により柔軟に運用することも可能です。
・高ストレスと判定された従業員には、医師による面接指導を申し出る権利が与えられています。
5. ストレスチェック後の対応
ストレスチェックの実施後、結果は企業運営において非常に重要なデータとして活用されます。まず、ストレスチェックの結果をどのように受け止め、活かしていくかがカギとなります。評価結果は従業員一人ひとりのメンタルヘルス状態を示すものであり、必要に応じて適切なフォローアップを行う必要があります。このフォローアップには、個別面談やカウンセリングサービスへの誘導が有効です。特に高ストレスと評価された従業員に対しては、医師による面接指導の機会が与えられ、問題の早期発見と解決が期待できます。
また、組織全体のストレス状態を把握するためには、集団分析を行い、部署ごとの結果を確認することも重要です。これにより、特定の部署でストレスが高まっている原因を探る手がかりとなり、課題を明確化することが可能になります。たとえば、職場のコミュニケーションが不足している場合、社内イベントの実施やレクリエーション活動の導入を検討することで、人間関係の改善やストレス軽減を図ることができます。
さらに、フィードバックサイクルの重要性も忘れてはなりません。ストレスチェックを行った後、その結果を従業員と共有し、改善策を共に考えるプロセスは、信頼関係の構築に繋がります。従業員の意見を尊重することで、エンゲージメントが高まり、風通しの良い職場環境が生まれるでしょう。加えて、改善施策が効果を発揮したかどうかを定期的に評価し、必要があればさらなる施策を実施することで、持続可能な職場改善を実現することができます。
ストレスチェックの結果を活用することは、単なる義務を果たすだけではなく、企業文化の向上や業績向上に寄与する大きな一歩です。メンタルヘルスが健全であることで、従業員の離職率が低下し、企業の競争力が高まることを忘れてはなりません。安心して働ける職場を作るために、ストレスチェックをきっかけとして様々な改善策を実施していくことが求められています。
6. 小規模事業所導入時の問題点
2025年の改正により、2027年までに、従業員50人未満の事業所にもストレスチェックが義務化される見通しとなりました。50人未満の会社の従業員にとって、自分の心理的負荷を見つめ直す良いが機会ができて意義深いといえます。しかし、49人の従業員の会社で実施するのと、と5人の従業員の会社で実施するのでは、運用時に、プライバシーの保護や実施体制の整備が全く異なってきます。5人の企業では、ストレスチェックを提出することがストレスになりかねないともいえます。
ストレスチェックの実施は原則として外部委託先による実施が推奨されています。また、地域産業保健センター(地産保)などの外部資源を活用して、面接指導や職場改善に向けた助言を受けられる体制を整えたり体制作りが重要です。
2027年の導入に向けて、準備をしていくことが不可欠です。
7. お気軽にお問合せください!
ストレスチェックを導入する際には、企業内に相談窓口を設けることが重要です。従業員が気軽に相談できる環境を整えることで、ストレスへの意識向上や早期発見につながります。また、外部の専門機関と連携することで、必要な支援を受けられる体制を整えることも効果的です。特に社労士は、ストレスチェックの結果を踏まえて働き方に関する具体的なアドバイスを行い、職場環境改善をサポートできます。従業員にとっては、社内の悩みを社内で相談しにくい場合も多いため、外部窓口をうまく活用することが人材定着や人材育成、生産性向上につながります。企業戦略の一環として積極的に取り組まれることをお勧めします。ぜひ、気になることがありましたら、お気軽に下記フォームよりお問い合わせください。
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