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はじめに

こんにちは。東京都中央区に開業している社会保険労務士の田中 寧子(たなかやすこ)です。

最近では、まだわずかですが退職代行サービスを通して従業員が退職を申し出てくる機会が増えてまいりました。

『退職意思くらい、自分で伝えるべきだ!』と、事業主は考えるのがよくある考え方なのではないかと思いますが、退職代行を使う労働者側には、どうしても自分の口から言えない事情があるということもアンケート結果も出てきています。

退職代行をなぜ使う必要があったのか?対応方法、今後の対策など、このページで解説していきます。

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マイナビ退職代行に関する調査レポート(2024年10月発表)のデータの引用から

退職代行を利用した理由

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    退職を引き止められそうだった:40.7%

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    自分から言い出せる環境でないから:32.4%

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    退職を伝えた後にトラブルになりそうだから:23.7%

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    いちはやく退職する必要があったから:22.4%

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    退職のやりとりや手続きが面倒だから:13.8%

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    退職の理由を考えて伝えるのが面倒だから:13.4%

このデータは、アンケート結果により、利用者の本音が分かります。退職代行を活用しての退職は今後も世の中の流れとして続くと思いますが、会社として納得できない部分はあるかも知れませんが、これを機に体制を見直すよい機会と、前向きにとらえていくのが良いと思います。

退職代行の利点

退職代行の種類

退職代行は、どのような所が請け負っているでしょうか。

  • Point 01

    民間事業者

    退職の意思を退職先の会社に伝えることのみに特化しています。そのため、事業者との交渉は含まれません。揉めないことが想定できる退職でしたら、当サービスで足ります。最も安価で活用しやすいサービスです。

  • Point 02

    労働組合

    団体交渉権により、事業主との条件についての交渉ができます。しかし、損害賠償までは求められません。

  • Point 03

    弁護士

    退職理由に有給消化や未払い残業代の請求など、法的措置が関わってくる場合の退職に向いています。事業者との交渉、損害賠償のサポートまでの完璧なフルサポートです。

法的にみる退職とは(正社員、有期雇用社員)

★正社員(期間の定がない契約)

民法第627条1項で定められた2週間前の退職告知が必要です。会社の就業規則には、退職する場合は、「3カ月前に退職告知すること」、「1か月前に退職告知をを出すこと」などと会社によって様々な期日の規定がありますが、法律上、2週間前の退職告知をして会社を退職すれば足ります。

これを守らなかった場合、法律的には刑事罰や行政罰はありませんが、次のような影響が生じる可能性があります。


1. 民事上の損害賠償請求の可能性

会社は、退職が急すぎて業務に支障が出た場合、「損害賠償」を請求できる場合があります。 ただし実際には、損害を立証するのが難しいため、賠償が認められる例は少ないです。 過去の判例でも、単なる人手不足や引き継ぎの混乱だけでは「損害」と認められにくい傾向があります。

例:代替要員の緊急採用費用や派遣社員費用を証拠付きで示せた場合のみ一部認容されたケースあります。


2. 社内規定との関係

就業規則に「退職は○か月前までに申し出ること」と書いてあっても、民法の2週間ルールに優先する法的拘束力はありません。 そのため、会社が3カ月前申告を義務付けていても、法的には2週間前の予告で辞められます。 ただし、規定違反として社内評価が下がる、再就職先への推薦状がもらえないなど、社内的な不利益が生じる可能性はあります。


3. 引き継ぎや社会的信用への影響

法的には辞められても、十分な引き継ぎができない場合、元同僚や上司との関係悪化、業界内での評判低下につながる可能性があります。 特に同業界での転職の場合、元職場の人脈が影響することもあります。


★契約社員

契約期間満了までの就業が必要です。有期契約は、期間中は絶対に切られない従業員にとって安定した契約ですが、逆に辞めたいとなると、契約期間満了まで働くことを約束して契約を締結しているので、2週間前に退職告知を行っても辞めることができません。ただし「やむを得ない事由」があれば中途解約できます(民法628条)。

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職場環境の問題

実際の対応について

ステップ1:本人確認の実施
手続に入る前に、ご本人の依頼によるものかどうか(第3者によるなりすましではないか)の確認をしましょう。
退職代行業者に対して、従業員様から受け取った「委任状」の写し等、本人からの依頼の証明できる資料を退職代行業者に送付していただき、資料確認後や退職手続きを進めます。資料の共有がなく、本当にご本人からの申し出であるかの確認が取れない場合は、退職手続きを進められないと伝え、必ず本人の意思かどうか確認ができてから行うことが大切です。


ステップ2:退職日について

退職日を会社であらかじめ決めましょう。もしくは、ご本人から退職日について希望が出ている可能性もあります。退職日については、ご本人の意思を確認の上、有給の請求があった場合は、有給残日数を使い切った最終日とするか、有給休暇残日数分の支払額を給与支払い時に全額計算してお支払いします。


ステップ3:本人確認の実施後の流れ
退職届(「〇月〇日付けで、一身上の都合により退職します」という旨が記載されたもの)を出すよう退職代行業者を通じてお伝えいただき、その提出をもって各種保険の喪失手続き等をスタートします。


ステップ4:

①貸与品の返却依頼、業務データの保存について、業務引継ぎについて等、退職代行業者を通してお伝えいただく
②社会保険・雇用保険の喪失・離職票等の公文書を退職代行を通してご本人に送付いただく。


ステップ5:給与を給与日に支払う

最後の給料が支払い終わったら、源泉徴収票を退職代行業者を通して送付し、住民税を特別徴収から普通徴収に切替えて、退職の処理を完了します。

アンケート結果からわかる会社の今後の対策

①退職を引き留められそうだったから

私が個人的に相談された実際のケースですが、「退職の意思を会社に伝えたら、代わりの人を見つけてくるまで、うちは辞めさせない」と会社に言われて、結局代わりを見つけてこられず、6カ月間頑張った末、労基署に相談をしてスムーズに退職したケースがありました。会社の担当者も、従業員も双方が、労働法や民法の知識があれば、このようなことは起きなかったでしょう。

会社の従業員教育として、退職に関する民法の定めと、就業規則のことを日頃より周知して正しく運用すれば、従業員本人が安心して退職を申し出しやすくなります。


②自分から言い出せる環境ではないから

社内のコミュニケーションによるものと言えます。また、従業員の性格的なものもありますが、ハラスメントがあった可能性もあり得ます。これを機に、ハラスメントが起きていなかったかを確認し、2022年4月1日よりハラスメント防止が全事業所に義務化されていますので、研修を行ったり、相談窓口の機能について再確認をしてみるとよいでしょう。


③退職を伝えた後にトラブルになりそうだから

過去に退職トラブルを見たため直接言い出しにくいということがあり得ます。また、何か、仕事で大きなミスが隠されていないか、多くの仕事を抱えさせすぎてしまって引継ぎが間に合わないなど、退職を伝えた後のトラブルが様々考えられます。

業務が特定の従業員に偏っていないかなど見直すチャンスにもなります。


④いちはやく辞める必要があった

危険な作業から逃げたい、長時間労働で体調を崩した、ハラスメントで早く辞めたいなど様々です。職場の環境を見直してみましょう。


実際、退職代行を通して本人の退職理由の本音を伝えてくることは少ないと思いますが、せめて、アンケート結果に出てきた①~④について、あてはまる環境やイメージを従業員に持たせてしまっていないかという振り返りをしてみることが、次からの対策になります。⑤退職のやり取りが面倒だという理由や⑥理由を考えるのが面倒だという労働者本人の事情によるものについては、会社として対策を講じるのは難しいですが、せめて①~④までは、当てはまっていないか振り返ってみると良いでしょう。

雇用保険の知識

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急に退職代行業者から従業員の退職を告げられたら驚きますよね。さらに、その従業員と、今後は直接の連絡は不可で、代行業者を通して連絡を取り合ってくださいと代行業者より指示をうけます。今まで一緒にお仕事をしてきた仲間と、直接話を話すことがその通告を境にできなくなってしまいます。

弊所では、退職代行から連絡が来た場合の対応から、また、その後会社内での体制を見直しなど、ご相談を受け付けております。お気軽にご相談くださいませ。

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